事務所の届出とは?宅建試験の重要ポイントを徹底解説

事務所の届出の定義

宅地建物取引業法(以下、宅建業法)には「事務所の届出」という直接的な単独の規定はありません。しかし、宅地建物取引業を営むためには、必ず「事務所」を設置し、免許申請や変更の届出の際に、その情報を届け出る必要があります。

宅建業法における「事務所」とは、本店(主たる事務所)や支店(従たる事務所)など、継続的に業務を行うことができる施設で、宅建業の営業拠点となる場所を指します。 この事務所には、専任の宅地建物取引士の設置など、法律で定められた様々な要件を満たすことが義務付けられています。

この記事では、宅建業を営む上で不可欠な「事務所」の設置要件や関連する手続きを、試験対策上の「事務所の届出」と捉えて分かりやすく解説します。

事務所の届出のポイント

宅建試験で問われる「事務所」に関する重要ポイントは、主に「免許」「営業保証金」「専任の宅地建物取引士」の3つです。これらは事務所を設置・運営するための必須要件であり、密接に関連しています。

1. 事務所の設置場所と免許

宅地建物取引業を営むには、事務所の設置場所に応じて免許を取得する必要があります。

  • 都道府県知事免許: 1つの都道府県内にのみ事務所を設置する場合
  • 国土交通大臣免許: 2つ以上の都道府県に事務所を設置する場合

免許の有効期間は5年で、更新が必要です。

【覚え方のコツ】 「県をまたいだら大臣!」と覚えましょう。複数の都道府県にまたがって事業を展開するということは、より広域で責任が重くなるため、国のトップである国土交通大臣の免許が必要になるとイメージすると分かりやすいです。

2. 営業保証金の供託

宅建業者は、万が一の取引事故に備え、消費者を保護するために営業保証金を供託する義務があります。供託する金額は事務所の数によって決まります。

  • 主たる事務所(本店): 1,000万円
  • その他の事務所(支店): 1事務所につき 500万円

この営業保証金は、主たる事務所の最寄りの供託所にまとめて供託します。 なお、保証協会に加入し、弁済業務保証金分担金を納付することで、営業保証金の供託に代えることも可能です。

3. 専任の宅地建物取引士の設置

事務所には、成年者である専任の宅地建物取引士(たくちたてものとりひきし)を置かなければなりません。

  • 設置基準: 事務所の業務従事者5人につき1人以上の割合

「専任」とは、その事務所に常勤し、専ら宅地建物取引業の業務に従事することを意味します。 また、宅建士が退職等で法定の人数を欠いた場合は、2週間以内に補充するなどの措置を講じなければなりません。

📝

事務所の届出」― 宅建業法の頻出論点、押さえてる?

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具体例で理解する事務所の届出

【ケース1:東京都内だけで開業】

  • 状況: 東京都に本店を1つ、支店を1つ設置する。
  • 免許: 事務所はすべて東京都内にあるため、東京都知事免許が必要。
  • 営業保証金: 本店1,000万円 + 支店500万円 = 合計1,500万円を、本店最寄りの供託所に供託。
  • 専任の宅建士: 本店と支店、それぞれの事務所で業務従事者5人につき1人以上の割合で設置。

【ケース2:東京と大阪で展開】

  • 状況: 東京都に本店を、大阪府に支店を設置する。
  • 免許: 2つの都道府県に事務所を設置するため、国土交通大臣免許が必要。
  • 営業保証金: 本店1,000万円 + 支店500万円 = 合計1,500万円を、本店(東京)最寄りの供託所に供託。
  • 専任の宅建士: 東京の本店と大阪の支店、それぞれの事務所で業務従事者5人につき1人以上の割合で設置。

試験対策:ひっかけに注意!

宅建試験では、事務所の要件に関するひっかけ問題が頻出します。特に以下の点に注意しましょう。

  • 「事務所」と「案内所」の混同 継続的な業務施設ではないモデルルームや、契約行為を行わない案内所は、原則として宅建業法上の「事務所」にはあたりません。 しかし、契約の申込みを受ける案内所など、一定の業務を行う場所には、専任の宅地建物取引士を1名以上設置する義務が生じます。 「事務所」の設置義務(5人に1人)と、契約等を行う「案内所」の設置義務(1人以上)の違いを正確に区別しましょう。

  • 専任の宅建士の要件 「成年者である」という要件を見落としがちです。未成年者は、たとえ宅建士の資格を持っていても、法定代理人の許可の有無にかかわらず専任の宅建士にはなれません。また、「専任」とは常勤性を意味するため、他の法人の役員を兼ねていたり、通勤が困難なほど遠隔地に居住していたりすると認められない場合があります。

  • 営業保証金の供託先 支店を設置した場合でも、営業保証金はそれぞれの支店の最寄りではなく、「主たる事務所」の最寄りの供託所にまとめて供託します。 この点を問う問題に注意が必要です。

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よくある質問

Q: 従業員が3人しかいない小さな事務所でも、専任の宅地建物取引士は必要ですか?

A: はい、必ず1名以上必要です。「業務従事者5人に1人以上」という基準は、事務所に最低1名の専任宅建士を置くことが前提となります。したがって、従業員が5人未満であっても、成年者である専任の宅地建物取引士を最低1名は設置しなければなりません。

Q: 期間限定のモデルルームは「事務所」にあたりますか?

A: いいえ、継続的に業務を行うことができる施設ではないため、通常は「事務所」にはあたりません。ただし、そのモデルルームで契約の申込みや契約締結を行う場合は、「事務所以外で専任の宅地建物取引士を置くべき場所」に該当し、1名以上の専任の宅地建物取引士を設置する義務が生じます。

Q: 本店を別の都道府県に移転した場合、免許はどうなりますか?

A: 例えば、東京都知事免許を持つ業者が本店を神奈川県に移転した場合、1つの都道府県内のみに事務所がある状況は変わりませんが、管轄の知事が変わるため、新たに神奈川県知事の免許を取得する「免許換え」の手続きが必要になります。この場合、従前の東京都知事免許は効力を失います。詳細は最新の法令を確認してください。

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※ この記事は2026年度宅建試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。

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公開日: 2026/6/11 / 更新日: 2026/6/11

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