割賦販売契約とは?宅建試験の重要ポイントを徹底解説
割賦販売契約の定義
割賦販売契約(かっぷはんばいけいやく)とは、宅地建物の売買において、代金の全部または一部を、目的物の引渡し後1年以上の期間にわたり、かつ、2回以上に分割して受領する契約のことです。 [8] この契約は、買主が一度に多額の資金を用意できなくても不動産を購入しやすくするメリットがありますが、一方で支払いが滞った場合に買主が不安定な立場に置かれるリスクもあります。 [4]
そのため、宅地建物取引業法(以下、宅建業法)では、宅建業者が自ら売主となり、買主が宅建業者でない場合に、買主を保護するための特別なルール(8種制限の一つ)を定めています。 [5, 7]
割賦販売契約のポイント
試験で問われる割賦販売契約の規制は、大きく分けて「契約解除等の制限」と「所有権留保等の禁止」の2つです。 [7]
1. 契約解除等の制限(宅建業法第42条)
買主の賦払金(ふばらいきん、分割金のこと)の支払いが遅れた場合でも、売主である宅建業者はすぐに契約を解除したり、残代金を一括で請求したりすることはできません。 [10, 13]
契約解除などを行うためには、以下の2つのステップを踏む必要があります。
- 30日以上の相当な期間を定めて、書面で支払いを催告(さいこく)する。 [1, 4, 11]
- 買主がその期間内に支払いを行わなかった場合に、初めて契約の解除や残代金の一括請求が可能になる。 [8]
この規定に反する特約、例えば「支払いが1日でも遅れたら、催告なしで契約を解除できる」といった内容は、買主に不利なものとして無効になります。 [4, 13]
【覚え方のコツ】 「割賦(カップ)の催告、サ(3)ラリーマンに書面(しょめん)で」と覚えましょう。「サ(3)」は30日以上、「ラリーマン」は支払い猶予のイメージ、「書面」は催告方法を指します。
2. 所有権留保等の禁止(宅建業法第43条)
所有権留保(しょゆうけんりゅうほ)とは、代金が全額支払われるまで、目的物の所有権を売主のもとに留めておくことです。 [9] 民法上は認められていますが、宅建業法では買主の地位が不安定になることを防ぐため、原則としてこれを禁止しています。 [2]
具体的には、宅建業者は目的物を買主に引き渡すまでに、所有権移転登記などの義務を履行しなければなりません。 [3, 9]
ただし、常に禁止されているわけではなく、例外的に所有権を留保できる場合があります。
- 例外1: 受領した賦払金の合計額が、代金の10分の3以下の場合。 [9]
- 例外2: 残代金を担保するための抵当権設定の見込みがないなど、買主が担保措置を講じる見込みがない場合。 [2, 3]
重要なのは、たとえ所有権を留保できる場合でも、所有権移転登記を拒むことはできないという点です。所有権の留保と登記の移転は別の問題として扱われます。
具体例で理解する割賦販売契約
【ケース】 宅建業者Aが、宅建業者でないBに3,000万円の土地を割賦販売(引渡し後、2年間の分割払い)しました。
-
Bの支払いが遅れた場合 Aはすぐに契約を解除できません。まず「30日以上の支払猶予期間を設けるので、それまでに支払ってください」という内容の書面をBに送付する必要があります。 [4] Bがその期間を過ぎても支払わなかった場合に、Aは初めて契約を解除できます。
-
所有権移転登記のタイミング AはBに土地を引き渡すまでに、所有権移転登記をしなければなりません。ただし、Bから受け取った金額が代金の3/10(900万円)以下である間は、所有権をAのもとに留保しておくことが可能です。 [9]
試験対策:ひっかけに注意!
- 催告期間の数字:「30日以上」を「20日」や「1週間」など、別の数字に入れ替える問題に注意。 [13, 14]
- 催告の方法:「書面で」という要件を忘れずに。「口頭での催告」は無効です。 [11]
- 所有権留保の誤解:「所有権留保は全面的に禁止されている」という選択肢は誤りです。代金の10分の3以下の受領など、例外的に認められるケースがあります。 [9] また、「所有権を留保できる場合は、登記も移転しなくてよい」というのも誤りです。
- 適用範囲:これらの規制は、あくまで売主が宅建業者で、買主が宅建業者でない売買契約に適用される「8種制限」の一つです。業者間の取引には適用されません。 [7]
よくある質問
Q: 支払いが一度でも遅れたら、すぐに残額を全額請求されますか?
A: いいえ、されません。売主である宅建業者は、まず30日以上の支払猶予期間を設けて、書面で支払いを催告する必要があります。 [4, 8] その期間内に支払いがない場合に初めて、残代金の一括請求が可能となります。
Q: 銀行ローンを組んで分割で返済するのも割賦販売契約ですか?
A: いいえ、異なります。銀行ローンは、買主が金融機関から融資を受け、そのお金で売主には代金を一括で支払うものです。売主と買主の間で直接分割払いを行う契約ではないため、宅建業法の割賦販売契約には該当しません。
Q: 代金の3割を支払うまで、登記をしてもらえないのですか?
A: いいえ、それは誤解です。宅建業者は、たとえ受け取った代金が3割以下で所有権を留保できる場合でも、目的物を引き渡すまでに所有権移転登記を行う義務があります。 [3, 9] 所有権を留保できることと、登記を移転しなくてもよいことはイコールではありません。
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※ この記事は2026年度宅建試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。
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