従業者名簿とは?宅建試験の重要ポイントを徹底解説
従業者名簿の定義
従業者名簿(じゅうぎょうしゃめいぼ)とは、宅地建物取引業者(以下、宅建業者)が、その事務所ごとに備え付けなければならない、従業者の情報を記載した名簿のことです。 根拠条文は宅地建物取引業法(以下、宅建業法)第48条第3項で、宅建業者の業務の適正化と、取引の公正を確保することを目的としています。
この名簿には、宅地建物取引士(たっちたてものとりひきし)であるか否かにかかわらず、その事務所のすべての従業者の情報を記載する必要があります。
従業者名簿のポイント
宅建試験で問われる従業者名簿の重要ポイントは、「記載事項」「保存期間」「閲覧義務」の3つです。これらを正確に覚えましょう。
ポイント1:記載事項
従業者名簿には、以下の事項を記載しなければなりません(宅建業法施行規則第17条の2)。
- 従業者の氏名
- 従業者証明書の番号
- 生年月日
- 主たる職務内容
- 宅地建物取引士であるか否かの別
- 当該事務所の従業者となった年月日
- 当該事務所の従業者でなくなったときは、その年月日
【覚え方のコツ】 個人の特定情報(氏名、生年月日)、社内での情報(証明書番号、職務内容、入退社日)、そして宅建業法上の資格(宅建士か否か)の3つのカテゴリで覚えると整理しやすいです。なお、法改正により、以前は記載が必要だった「住所」は現在不要となっています。
ポイント2:保存期間
従業者名簿は、最終の記載をした日から10年間保存しなければなりません。
【覚え方のコツ】 「**従業(じゅう)者名簿は10(じゅう)**年間」というゴロ合わせで覚えるのが定番です。 起算点が「作成日」や「事業年度末」ではなく、「最後に記載した日」である点に注意してください。
ポイント3:閲覧義務
宅建業者は、取引の関係者から請求があったときは、従業者名簿を閲覧させなければなりません。 これは、取引の相手方が、担当者がどのような人物であるかを確認できるようにするための規定です。 誰でも無条件に閲覧できるわけではなく、あくまで「取引の関係者」に限定されている点がポイントです。
具体例で理解する従業者名簿
架空の「ABC不動産」を例に見てみましょう。
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入社時の記載 2026年4月1日、宅建士の資格を持つAさんと、一般事務職のBさんがABC不動産に入社しました。この場合、ABC不動産は事務所に備え付けの従業者名簿に、AさんとBさん両名の氏名、生年月日、従業者となった年月日などを速やかに記載します。
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取引時の閲覧請求 2026年10月5日、顧客のCさんがABC不動産の担当者Aさんと物件の売買契約について交渉しています。CさんはAさんが正規の従業員であり、宅建士であることを確認したいと考え、従業者名簿の閲覧を請求しました。この場合、Cさんは「取引の関係者」にあたるため、ABC不動産は正当な理由なく閲覧を拒否することはできません。
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退社時の記載と保存 2028年3月31日にBさんが退職しました。ABC不動産は、従業者名簿のBさんの欄に「従業者でなくなった年月日」として「2028年3月31日」と記載します。この名簿の保存期間は、この最終記載日である2028年3月31日から起算して10年間となります。
試験対策:ひっかけに注意!
従業者名簿は、帳簿や宅地建物取引業者名簿など、他の名簿との違いを問うひっかけ問題が出題されやすい分野です。以下のポイントに注意しましょう。
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ひっかけ1:保存期間の起算点 「名簿を作成した日から10年」や「事業年度の末日から10年」といった選択肢は誤りです。正しくは「最終の記載をした日から10年間」です。 新しい従業員が入社したり、既存の従業員が退社したりして追記するたびに、そこが新たな起算点となります。
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ひっかけ2:閲覧請求できる人 「何人も閲覧を請求できる」という選択肢は誤りです。閲覧を請求できるのは「取引の関係者」に限られます。 誰にでも公開されるわけではありません。
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ひっかけ3:従業者証明書との混同 従業者名簿は「事務所への備付義務」があるのに対し、従業者が業務中に携帯するのは「従業者証明書」です。 従業者証明書は取引の関係者から請求があれば提示する義務があり、名簿は事務所で閲覧させる義務があります。両者の役割と義務の違いを明確に区別しましょう。
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ひっかけ4:記載事項 「従業者の住所」や「報酬額」は記載事項ではありません。 特に「住所」は過去に記載義務があったため、古い知識のままだと間違えやすいポイントです。
よくある質問
Q: 役員やパート・アルバイトも従業者名簿に記載する必要はありますか?
A: はい、必要です。代表者や役員、正社員、契約社員、パート、アルバイトといった雇用形態にかかわらず、その事務所で宅地建物取引業の業務に実質的に従事している者はすべて「従業者」に含まれ、名簿への記載対象となります。
Q: 従業者名簿は電子データで保存してもよいですか?
A: はい、可能です。紙媒体での作成・保存が原則ですが、一定の技術的要件を満たせば、電磁的記録(電子データ)として作成・保存することも認められています。詳細は最新の法令を確認してください。
Q: 従業者名簿の備え付けを怠った場合、罰則はありますか?
A: 従業者名簿を備え付けなかったり、虚偽の記載をしたり、取引関係者からの閲覧を正当な理由なく拒んだりした場合は、50万円以下の罰金に処せられる可能性があります。また、監督処分の対象となることもあります。
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※ この記事は2026年度宅建試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。
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