遺言とは?宅建試験の重要ポイントを徹底解説

遺言の定義

遺言(ゆいごん、いごん)とは、自分の死後に法律上の効力を生じさせる目的で、民法に定められた方式に従って行う単独の意思表示のことです。 遺言は、遺言者が死亡した時からその効力が生じます。

宅建試験では、相続分野の基本的な知識として、遺言の種類や効力、遺留分との関係などが問われます。

遺言のポイント

宅建試験で問われる遺言の重要ポイントを、覚え方のコツと共に解説します。

1. 遺言能力

遺言をするためには、遺言の内容と、それによって生じる法的な結果を理解できる能力(遺言能力)が必要です。

  • 年齢: 満15歳に達すれば、誰でも遺言をすることができます(民法第961条)。 未成年者でも親などの法定代理人の同意は不要です。
  • 成年被後見人: 成年被後見人であっても、一時的に判断能力を回復したときは、医師2人以上の立会いがあれば遺言をすることができます。

2. 厳格な方式(要式行為)

遺言は、民法が定める方式に従わなければ無効となります(民法第960条)。 口頭での遺言は、特別な場合を除き原則として認められません。

主な遺言の方式は以下の3種類です。

  • 自筆証書遺言: 遺言者が、遺言の全文、日付、氏名を自分で書き、押印することで作成します。
    • 法改正ポイント: 以前は財産目録も全て自書する必要がありましたが、法改正により、財産目録はパソコンでの作成や、通帳のコピー・登記事項証明書などを添付することが可能になりました。 ただし、その目録の各ページに署名と押印が必要です。
  • 公正証書遺言: 証人2人以上の立会いのもと、遺言者が公証人に遺言の内容を伝え、公証人が筆記して作成する遺言です。 最も確実性が高く、家庭裁判所での検認(けんにん)手続きが不要というメリットがあります。
  • 秘密証書遺言: 遺言者が作成・封印した遺言書を、公証人と証人2人以上の前に提出し、自分の遺言書であることを申述する方式です。内容は秘密にできますが、方式が複雑なためあまり利用されていません。

3. 遺言の撤回

遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、遺言の全部または一部を自由に取り消す(撤回する)ことができます(民法第1022条)。 この撤回する権利は放棄できません。

  • 後の遺言との抵触: 新しい遺言が古い遺言の内容と矛盾(抵触)する場合、その矛盾する部分については、新しい遺言によって古い遺言が撤回されたものとみなされます。 つまり、常に最新の遺言が優先されます。
  • 生前の行為との抵触: 遺言で「Aに甲土地を遺贈する」と書いた後、生前にその甲土地をBに売却した場合、売却した部分について遺言は撤回されたものとみなされます。

4. 遺留分との関係

遺言によって財産の処分方法を自由に決められますが、兄弟姉妹以外の法定相続人には、法律上最低限保障された遺産の取り分である「遺留分(いりゅうぶん)」があります。

遺言が遺留分を侵害している場合でも、その遺言自体は有効です。 しかし、遺留分を侵害された相続人は、財産を多く受け取った人に対して、侵害された額に相当する金銭の支払いを請求(遺留分侵害額請求)することができます。

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具体例で理解する遺言

ケース1:方式の不備で無効に

Aさんは「全財産を長男に相続させる」という内容の遺言書をパソコンで作成し、署名・押印して保管していました。しかし、Aさんの死後、この遺言書は自筆証書遺言の「全文を自書する」という要件を満たしていないため、無効と判断されました。その結果、Aさんの財産は法定相続人である長男と次男で、法定相続分に従って分けることになりました。

ケース2:新しい遺言が優先される

Bさんは2024年に「自宅不動産は妻に相続させる」という公正証書遺言を作成しました。しかし、その後考えが変わり、2026年に「自宅不動産は長年にわたり介護をしてくれた長女に相続させる」という内容の自筆証書遺言を有効な形式で作成しました。Bさんの死後、日付の新しい自筆証書遺言が有効となり、自宅不動産は長女が相続することになりました。

試験対策:ひっかけに注意!

宅建試験では、以下のようなひっかけ問題に注意が必要です。

  • 共同遺言の禁止: 夫婦が1枚の紙に連名で遺言を残すなど、2人以上の者が同一の証書で遺言をすることはできません(民法第975条)。 これに違反した遺言は無効となります。
  • 死因贈与との違い: 「私が死んだらこの家をあなたにあげる」という約束は、相手方の承諾があれば「死因贈与契約」となります。 遺言が相手方の承諾を必要としない「単独行為」であるのに対し、死因贈与は双方の合意が必要な「契約」である点が大きな違いです。
  • 検認の効力: 公正証書遺言以外の遺言書を発見した場合、家庭裁判所で「検認」という手続きが必要ですが、これは遺言書の偽造・変造を防ぐための保全手続きです。 検認を受けたからといって、その遺言が法的に有効であると確定するわけではありません。
  • 遺言の効力発生時期: 遺言の効力が発生するのは「遺言者の死亡時」です。 「遺言作成時」や「検認時」ではありません。

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よくある質問

Q: パソコンやワープロで作成した遺言は有効ですか?

A: 自筆証書遺言の場合、財産目録を除き、本文は全て手書きでなければ無効です。 パソコンで作成したい場合は、公証人が作成する公正証書遺言を利用する方法があります。

Q: 遺言で借金などのマイナスの財産も相続させられますか?

A: はい、可能です。遺言によって財産を相続する人(包括受遺者など)は、不動産や預貯金といったプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も承継することになります。 そのため、遺言の内容によっては相続放棄を検討する必要も出てきます。

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※ この記事は2026年度宅建試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。

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公開日: 2026/5/19 / 更新日: 2026/6/20

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