定期建物賃貸借とは?宅建試験の重要ポイントを徹底解説

定期建物賃貸借の定義

定期建物賃貸借(ていきたてものちんたいしゃく)とは、契約の更新がなく、期間の満了によって確定的に終了する建物の賃貸借契約のことです。

借地借家法第38条では、「期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、契約の更新がないこととする旨を定めることができる」と規定されています。

通常の建物賃貸借(普通借家契約)では、貸主(かしぬし)からの更新拒絶には正当な事由が必要ですが、定期建物賃貸借では、契約期間が満了すれば、貸主と借主(かりぬし)の合意がない限り再契約はされず、賃貸借関係が終了します。

定期建物賃貸借のポイント

宅建試験で問われる定期建物賃貸借の重要ポイントは以下の通りです。

| ポイント | 内容 | 覚え方のコツ | | :--- | :--- | :--- | | 契約方法 | 公正証書などの書面による契約が必須です。 口頭での契約は認められず、その場合は普通借家契約となります。 | 「定期借家は書面でガッチリ!」 | | 事前説明義務 | 貸主は借主に対し、契約前に**「更新がなく、期間満了で終了する」旨を記載した書面を交付して説明しなければなりません。 | 「契約書とは別の書面で、事前に説明」と覚えましょう。 | | 事前説明の効果 | 事前説明を怠った場合、「更新がない」という特約が無効になり、普通借家契約として扱われます。 | 説明を忘れると、ただの普通借家になってしまう、と覚えておきましょう。 | | 契約期間 | 契約期間に上限・下限はありません**。1年未満の契約も可能です。 | 普通借家と違い、期間は自由に設定できると覚えておきましょう。 | | 中途解約 | 原則として中途解約はできません。 ただし、居住用の建物で、床面積が200㎡未満の場合、転勤や療養などやむを得ない事情があれば、借主からの中途解約が可能です。 この場合、解約の申し入れから1ヶ月で契約が終了します。 | 「200㎡未満の居住用やむを得ない事情1ヶ月前」がキーワードです。 |

2022年5月の法改正により、賃借人の承諾があれば、事前説明書の交付や契約締結を電子メールなど電磁的な方法で行うことが可能になりました。

📝

定期建物賃貸借」― 民法の過去問、何問解ける?

権利関係の過去問を多数収録。解説付きで読んだ知識をその場で定着させましょう。

具体例で理解する定期建物賃貸借

ケース1:転勤期間だけ自宅を貸したい Aさんは3年間の海外転勤が決まりました。その間、自宅を空けておくのはもったいないので、誰かに貸したいと考えています。しかし、3年後には必ず戻ってくるため、その時に確実に明け渡してもらわなければ困ります。

このような場合、定期建物賃貸借契約が非常に有効です。契約期間を3年と定めれば、期間満了とともに契約が終了するため、Aさんは安心して自宅を貸し出すことができます。

ケース2:期間限定のアンテナショップ ある企業が、新商品のプロモーションのために3ヶ月間だけ店舗を借りたいと考えています。普通借家契約では、期間が来ても簡単に退去してもらえない可能性があります。

この場合も、貸主は定期建物賃貸借契約を結ぶことで、3ヶ月後には確実に物件を明け渡してもらうことができ、次のテナント募集などの計画が立てやすくなります。

試験対策:ひっかけに注意!

宅建試験では、細かい要件や他の制度との違いを突いた「ひっかけ問題」が頻出します。以下のポイントに注意しましょう。

  • 事前説明の書面は「契約書とは別」 最高裁判所の判例では、事前説明に用いる書面は、契約書とは別個独立の書面である必要があるとされています。 契約書の中に説明文言が含まれているだけでは、説明義務を果たしたことにならない、という点が狙われやすいポイントです。

  • 普通建物賃貸借との違い 最も大きな違いは「更新」の有無です。定期建物賃貸借には更新がありませんが、普通建物賃貸借には更新があります。また、普通建物賃貸借で貸主が更新を拒絶するには正当事由が必要ですが、定期建物賃貸借では不要です。

  • 定期借地権との混同 名前が似ている「定期借地権」と混同しないようにしましょう。対象が「建物」の賃貸借なのか、「土地」の借地権なのかを明確に区別してください。 特に契約方法の違いに注意が必要です。

    • 定期建物賃貸借: 公正証書の書面
    • 一般定期借地権: 公正証書の書面
    • 事業用定期借地権: 公正証書によってしなければならない

ここまで読んだ知識を定着させよう

権利関係の過去問を多数収録。解説付きで理解を深められます。

よくある質問

Q: 事前説明を忘れた場合、契約はどうなりますか?

A: 貸主が事前説明を怠った場合、「契約の更新がない」という定めが無効になります。 その結果、その契約は期間の定めのない普通建物賃貸借契約とみなされます。

Q: 契約期間中に中途解約はできますか?

A: 原則として中途解約はできません。 ただし、①床面積200㎡未満の居住用建物で、②転勤、療養、親族の介護など、やむを得ない事情により生活の本拠として使用することが困難となった場合には、借主から解約の申し入れができます。 この申し入れから1ヶ月が経過すると契約は終了します。

Q: 期間が満了したら、絶対に退去しなければいけませんか? 再契約は可能ですか?

A: 期間満了により契約は確定的に終了します。 ただし、貸主と借主の双方が合意すれば、新たに賃貸借契約(再契約)を締結することは可能です。 あくまで「更新」ではなく「新しい契約」であるという点がポイントです。

この用語に関連する過去問に挑戦

この用語の理解度をチェックしましょう。宅建過去問アプリで関連する過去問を解くことができます。

過去問に挑戦する


※ この記事は2026年度宅建試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。

腕試しクイズ

事前説明を忘れた場合、契約はどうなりますか?

もっと問題を解きたい方へ

全4科目の過去問を収録。解説付きで知識を定着させましょう。

公開日: 2026/5/17 / 更新日: 2026/5/17

権利関係の他の記事

定期借地権とは?50年以上で更新なしの重要ポイント

定期借地権とは、契約期間満了で更新がなく返還される借地権です。宅建試験で頻出の一般定期借地権(50年以上)と事業用定期借地権(10年以上50年未満)の要件や普通借地権との違いを、借地借家法22条・23条の条文番号と共にわかりやすく解説します。試験対策に必須の知識を網羅。

不法行為とは?宅建試験の5つの要件と時効

宅建試験の権利関係で頻出の「不法行為」とは、故意・過失で他人の権利を侵害し損害を与える行為です。民法709条に基づき、成立要件5つと消滅時効(3年・20年)を解説。試験対策の重要ポイントを網羅します。

賃貸借とは?宅建試験の民法と借地借家法を解説

賃貸借とは、当事者の一方が物の使用収益をさせ、相手方が賃料を支払う契約です(民法第601条)。宅建試験では、民法の原則に加え、借主保護の借地借家法が重要。建物賃借権の対抗力や、民法と借地借家法の関係性を中心に、試験対策のポイントを解説します。

売買契約とは?宅建試験の3つの性質と要件を解説

売買契約とは、当事者の一方が財産権を移転し、相手方が代金を支払うことを約束する契約です(民法555条)。宅建試験では、諾成契約・双務契約といった契約の性質と、契約不適合責任が重要です。3つの性質と成立要件、具体的なポイントを解説します。

解除とは?宅建試験の法定・約定解除を解説

宅建試験の重要ポイント「解除」とは、一度成立した契約を初めから無かったことにする効力です。民法540条に基づき、法定解除と約定解除の2種類を、債務不履行による催告解除の要件や効果まで具体的に解説します。宅建合格を目指す方は必見です。