贈与とは?宅建試験の重要ポイントを徹底解説

贈与の定義

贈与(ぞうよ)とは、「当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる」契約のことです(民法第549条)。

ポイントは、財産を「あげる」という一方的な行為ではなく、「あげます」「もらいます」という双方の合意によって成立する「契約」であるという点です。口約束でも成立するため、契約書の作成は必須ではありません。このような契約を諾成契約(だくせいけいやく)といいます。

贈与のポイント

宅建試験で贈与が出題される場合、特に重要なポイントは以下の3つです。

  1. 書面によらない贈与の解除(撤回)
  2. 贈与者の担保責任
  3. 特殊な贈与(負担付贈与・死因贈与)

1. 書面によらない贈与の解除

口約束など、契約書を作成しないで行われた贈与は、各当事者が原則としていつでも一方的に解除(2020年4月の民法改正前は「撤回」)することができます(民法第550条)。 これは、軽率な贈与から当事者を保護するための規定です。

【例外】履行(りこう)が終わった部分は解除できない

ただし、たとえ口約束の贈与であっても、すでに履行が終わった部分については解除することができません(民法第550条ただし書)。

宅建試験で重要な「履行の終わり」とは、具体的に以下の時点を指します。

  • 動産の場合: 引渡し
  • 不動産の場合: 引渡し、または所有権移転登記のいずれか早い方

つまり、不動産の贈与では、登記をしていなくても、買主に物件を引き渡した時点で「履行の終わり」とみなされ、原則として解除できなくなります。

2. 贈与者の担保責任

贈与は無償(むしょう)の契約なので、贈与者は原則として、贈与した物や権利に欠陥(瑕疵(かし))があっても責任を負いません(民法第551条)。これを担保責任(たんぽせきにん)といいます。

【例外】担保責任を負うケース

ただし、以下の2つのケースでは、贈与者も担保責任を負う必要があります。

  • 贈与者が欠陥を知りながら告げなかった場合: 贈与者は、その欠陥について責任を負わなければなりません。
  • 負担付贈与の場合: 後述する負担付贈与では、贈与者はその負担の限度において、売主と同じ担保責任を負います。

3. 特殊な贈与

通常の贈与のほかに、特殊な性質を持つ贈与が2つあります。

  • 負担付贈与(ふたんつきぞうよ): 受贈者(じゅぞうしゃ、もらう側)に一定の義務(負担)を負わせることを条件とする贈与契約です。 例えば、「自宅を贈与するかわりに、毎月10万円の仕送りをしてほしい」といったケースが該当します。負担付贈与は、その負担の限度で売買契約のルールが準用されるため、贈与者は売主と同じ担保責任を負います。

  • 死因贈与(しいんぞうよ): 「私が死んだら、この土地をあなたにあげます」というように、贈与者の死亡によって効力が発生する贈与契約です。 死因贈与は、遺言によって財産を与える「遺贈(いぞう)」と性質が似ているため、遺贈に関する規定が準用されます。

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具体例で理解する贈与

【ケース1:口約束での不動産贈与】

父Aが息子Bに「この土地をお前にやる」と口約束しました。この時点で贈与契約は有効に成立しています。しかし、これは「書面によらない贈与」なので、父Aは土地の引渡しや登記移転をする前であれば、いつでも贈与契約を解除できます。もし、AがBに土地を引き渡した後であれば、履行が終わっているため、Aは契約を解除できなくなります。

【ケース2:負担付贈与】

祖母Cが孫Dに「私が生きている間、身の回りの世話をしてくれるなら、このマンションを贈与する」と約束し、Dも承諾しました。これは負担付贈与契約です。もしDが世話を全くしない場合、Cは債務不履行を理由に贈与契約を解除することができます。 また、もしマンションに重大な欠陥(例:雨漏り)があり、Cがそれを知っていたのにDに伝えなかった場合、Cは担保責任を問われる可能性があります。

試験対策:ひっかけに注意!

  • 「書面によらない贈与は、無効である」 → × 無効ではなく、契約は有効に成立しています。ただし、履行が終わるまでは各当事者が「解除」できる、というだけです。

  • 「不動産の贈与は、登記をしなければ履行が終わったとはいえない」 → × 判例では、登記だけでなく「引渡し」でも履行の終わりと認められています。 どちらか一方があれば解除できなくなります。

  • 「死因贈与と遺贈は同じものである」 → × 死因贈与は「契約」であるのに対し、遺贈は遺言による「単独行為」です。 死因贈与は相手の承諾が必要ですが、遺贈は不要という大きな違いがあります。

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よくある質問

Q: 口約束の贈与でも、履行が終わったら本当に取り消せないのですか?

A: はい、民法第550条の規定により、履行が終わった部分については解除できません。 これは、軽率な贈与を防ぐという趣旨と、履行が終わった段階での法的安定性を保つためのルールです。

Q: 「書面」とは、公正証書でなければいけませんか?

A: いいえ、民法550条でいう「書面」は、贈与の意思が贈与者によって明確に示されていれば、当事者間で作成した契約書などでも足ります。 必ずしも公証役場で作成する公正証書である必要はありません。ただし、後の紛争を防ぐという観点からは、公正証書にしておくことが望ましいです。

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※ この記事は2026年度宅建試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。

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口約束の贈与でも、履行が終わったら本当に取り消せないのですか?

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公開日: 2026/6/20 / 更新日: 2026/6/20

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