免許の基準とは?宅建試験の重要ポイントを徹底解説

免許の基準の定義

免許の基準とは、宅地建物取引業(以下「宅建業」)を営むために、宅地建物取引業法(以下「宅建業法」)によって定められた要件のことです。宅建業を営もうとする者は、個人・法人を問わず、これらの基準をすべて満たした上で、国土交通大臣または都道府県知事から免許を受けなければなりません。無免許で宅建業を営むことは固く禁じられています。

主な基準として、以下の4つが挙げられます。

  1. 適切な免許権者からの免許取得
  2. 欠格事由に該当しないこと
  3. 事務所ごとに一定数の専任の宅地建物取引士を設置すること
  4. 営業保証金の供託または保証協会への加入

この記事では、特に試験で頻出する1から3の基準について詳しく解説します。

免許の基準のポイント

宅建試験で問われる「免許の基準」の重要ポイントを3つに絞って解説します。

ポイント1:免許権者と有効期間

宅建業の免許は、事務所をどこに設置するかによって申請先が異なります。

  • 国土交通大臣免許:2つ以上の都道府県に事務所を設置する場合
  • 都道府県知事免許:1つの都道府県のみに事務所を設置する場合

例えば、本店が東京都、支店が神奈川県にある場合は国土交通大臣免許が必要です。東京都と神奈川県の両方の知事から免許を受けるわけではないので注意しましょう。

免許の有効期間は、大臣免許・知事免許ともに5年間です。 有効期間満了後も事業を続ける場合は、有効期間満了の90日前から30日前までの間に更新の手続きをしなければなりません。

ポイント2:免許の欠格事由

免許の基準で最も重要なのが「欠格事由」です。申請者(法人の場合はその役員を含む)が以下のいずれかに該当する場合、免許を受けることはできません。特に「5年間」という期間が繰り返し出てくるので、しっかり覚えましょう。

  • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  • 不正の手段による免許取得や業務停止処分事由に該当し情状が特に重いなどの理由で、免許を取り消されてから5年を経過しない者
  • 上記の免許取消処分の聴聞の公示日から処分決定日までの間に、相当な理由なく廃業等の届出をした者で、その届出の日から5年を経過しない者
  • 2025年6月1日に刑法が改正され、従来の「懲役」「禁錮」が「拘禁刑」に一本化されました。 これに伴い、拘禁刑(こうきんけい)以上の刑に処せられ、その刑の執行が終わった日、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
  • 宅建業法、暴力団対策法(の一部)、または暴力的な犯罪(傷害、脅迫など)により罰金刑に処せられ、その刑の執行が終わった日、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
  • 暴力団員等、または暴力団員等でなくなった日から5年を経過しない者
  • 心身の故障により宅建業を適正に営むことができない者として国土交通省令で定めるもの

ポイント3:専任の宅地建物取引士の設置義務

宅建業者は、事務所ごとに「成年者である専任の宅地建物取引士」を設置しなければなりません。

  • 設置場所:本店・支店などの「事務所」
  • 必要な人数:その事務所の業務に従事する者5人に対して1人以上の割合
  • 資格要件:設置される宅地建物取引士は成年者であり、その事務所に常勤して専ら宅建業に従事する専任である必要があります。

例えば、ある事務所の業務従事者が12人の場合、5分の1は2.4人なので、切り上げて3人以上の専任の宅地建物取引士を設置する必要があります。

📝

免許の基準」― 宅建業法の頻出論点、押さえてる?

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具体例で理解する免許の基準

【ケース1:新規免許申請】 株式会社Aが、東京都内に本店を、大阪府に支店を設置して宅建業を開始しようとしています。この場合、2つの都道府県に事務所を設置するため、国土交通大臣の免許が必要です。また、本店の業務従事者が10人、支店が6人であれば、本店には2人以上、支店には2人以上の成年者である専任の宅地建物取引士をそれぞれ置かなければなりません。

【ケース2:役員の欠格事由】 宅建業者B社の取締役Cが、傷害罪で罰金30万円の刑に処せられました。傷害罪は宅建業法第5条で定められた「暴力的な犯罪」に該当するため、Cは欠格事由に該当します。 その結果、Cが役員である限り、B社は免許を維持することができず、免許取消処分の対象となります。

試験対策:ひっかけに注意!

  • 罰金刑の範囲:欠格事由となる罰金刑は、①宅建業法違反、②暴力団対策法(の一部)、③暴力的な犯罪(傷害罪など)や背任罪などに限定されます。 例えば、「スピード違反(道路交通法違反)」で罰金刑を受けても欠格事由には該当しません。

  • 執行猶予:拘禁刑以上の刑で「執行猶予」が付された場合、その猶予期間が満了すれば直ちに免許を取得できます。猶予期間満了後、さらに5年待つ必要はありません。

  • 法人の役員の範囲:欠格事由の判断対象となる「役員」には、代表取締役や取締役だけでなく、監査役も含まれます。また、相談役や顧問といった肩書でも、法人に対して取締役と同等以上の支配力を有すると認められる者は「役員」とみなされます。

  • 専任の宅建士の補充義務:専任の宅地建物取引士が退職等により法定の人数を欠いた場合、宅建業者はその日から2週間以内に補充等の必要な措置をとらなければなりません。 この「2週間」という期間は、変更の届出(30日以内)と混同しやすいため、正確に覚えましょう。

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よくある質問

Q: 免許の更新を忘れてしまいました。どうなりますか?

A: 免許の有効期間が満了すると、免許は自動的に失効します。そのまま宅建業を続けると無免許営業となり、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります。

Q: 破産しましたが、すぐに免許は取れますか?

A: 破産手続開始の決定を受けた場合、裁判所から「復権」を得るまでは欠格事由に該当します。復権を得れば、5年を待たずに免許の申請が可能です。

Q: 専任の宅地建物取引士は、他の会社の役員を兼任できますか?

A: 専任の宅地建物取引士は、その事務所に「常勤」し、「専ら」宅建業の業務に従事する必要があるため、原則として他の法人の常勤の役員や従業員を兼ねることはできません。

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※ この記事は2026年度宅建試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。

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公開日: 2026/5/17 / 更新日: 2026/5/17

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