35条書面とは?宅建試験の重要ポイントを徹底解説

35条書面の定義

35条書面とは、宅地建物取引業法(たくちたてものとりひきぎょうほう)第35条の規定に基づき、宅地建物取引業者(以下、宅建業者)が不動産の売買、交換、賃貸借の契約が成立するまでの間に、買主や借主になろうとする人に対して交付し、説明しなければならない書面のことです。正式名称を「重要事項説明書」といいます。

この書面は、物件の権利関係や法令上の制限、インフラの整備状況、契約条件といった専門的で重要な情報を記載したもので、消費者が取引内容を十分に理解し、不利な契約を結んでしまうことを防ぐ目的があります。説明は、国家資格者である宅地建物取引士(たくちたてものとりひきし、以下、宅建士)が行うことが義務付けられています。

35条書面のポイント

宅建試験で35条書面を攻略するための重要ポイントは以下の通りです。

  • 誰が: 説明は必ず宅建士が行います。宅建士は説明の際に、相手方からの請求がなくても宅地建物取引士証を提示しなければなりません。
  • いつ: 契約が成立するまでの間に交付・説明します。 契約後では意味がないため、このタイミングは非常に重要です。
  • 誰に: 買主、借主、または交換契約における各当事者(物件を取得する側)に対して行います。売主や貸主への説明は不要です。
  • どのように: 宅建士が記名した書面を交付して説明します。法改正により、2022年5月18日から宅建士の押印は不要となりました。
  • 電子化とIT重説: 相手方の承諾があれば、書面を電子メールなどで提供(電子交付)することや、テレビ会議などのITを活用して説明(IT重説)することも可能です。 これも法改正による重要な変更点です。

【覚え方のコツ】 「契約前に、宅建士が、士証を見せて買ってくれる人・借りてくれる人に重要事項を説明する」という一連の流れをイメージで掴むことが大切です。

📝

35条書面」― 宅建業法の頻出論点、押さえてる?

宅建業法の過去問を多数収録。解説付きで読んだ知識をその場で定着させましょう。

具体例で理解する35条書面

あなたが中古マンションの購入を検討しているとします。内見を終え、購入の意思が固まってきた段階で、不動産会社の事務所に行きました。契約を申し込む前に、宅建士のAさんが「これから重要事項のご説明をさせていただきます」と言って、宅建士証を提示しました。

Aさんは「重要事項説明書(35条書面)」という書類をあなたに渡し、その内容を一つひとつ読み上げながら解説してくれます。

  • 「このマンションの所有者は登記簿上〇〇さんで、A銀行の抵当権が設定されていますが、お引き渡し時には抹消されます」
  • 「この地域は商業地域に指定されており、建ぺい率や容積率はこのようになっています」
  • 「マンションの管理費は月額〇〇円、修繕積立金は〇〇円で、現在〇〇円が積み立てられています」
  • 「もし契約を解除する場合は、手付金の放棄が必要になります」

このように、購入後に「知らなかった」というトラブルが起きないよう、専門的な情報を事前に詳しく説明するのが35条書面の役割です。あなたはこの説明を聞いて、納得した上で安心して売買契約に進むことができます。

試験対策:ひっかけに注意!

宅建試験では、35条書面に関して以下のような「ひっかけ問題」が頻出します。特に37条書面との違いは最重要ポイントです。

  • 【ひっかけ1】37条書面との混同 35条書面と37条書面(契約内容記載書面)は、交付のタイミングと目的が全く異なります。この違いを明確に区別しましょう。

| 項目 | 35条書面(重要事項説明書) | 37条書面(契約書) | | :--- | :--- | :--- | | タイミング | 契約成立前 | 契約成立後、遅滞なく | | 目的 | 契約を判断するための情報提供 | 契約内容の確認 | | 宅建士の義務 | 記名説明義務あり | 記名(説明義務はなし) | | 交付相手 | 買主・借主など | 契約当事者双方(売主・買主、貸主・借主) |

  • 【ひっかけ2】説明の相手方 重要事項説明は、物件を「取得する側」や「借りる側」を保護するための制度です。したがって、売主や貸主に対しては説明義務はありません。ただし、書面の交付は必要となる場合があります。詳細は最新の法令を確認してください。

  • 【ひっかけ3】宅建士の役割 書面への記名と、内容の説明は宅建士の独占業務です。 宅建士でない従業員が説明することはできません。 ただし、宅建士が記名・説明するのであれば、書面を渡す(交付する)行為自体は他の従業員でも可能です。

  • 【ひっかけ4】押印の要否 法改正により、宅建士の押印は不要になりました。 試験問題で「宅建士は記名し、押印しなければならない」という選択肢が出たら、それは誤りです。

ここまで読んだ知識を定着させよう

宅建業法の過去問を多数収録。解説付きで理解を深められます。

よくある質問

Q: IT重説(ITを活用した重要事項説明)は、どんな場合でも可能ですか?

A: いいえ、無条件ではありません。IT重説を行うには、事前に相手方の承諾を得る必要があります。 また、映像と音声を双方向でやり取りできる安定したIT環境が確保されており、宅建士証が画面上で明確に確認できることなどが要件となります。

Q: 35条書面と37条書面の最も大きな違いは何ですか?

A: 最も大きな違いは「交付のタイミング」と「目的」です。35条書面は契約前契約を結ぶかどうかの判断材料として説明されるもの、37条書面は契約後成立した契約内容を確認するために交付されるもの、と覚えてください。

Q: 説明を受ける相手が宅建業者でも、説明は省略できませんか?

A: 相手方(買主・借主)が宅建業者である場合、重要事項の説明は省略できます。ただし、35条書面の交付は省略できません。 プロ同士の取引なので説明は不要ですが、書面での交付は必要とされています。

この用語に関連する過去問に挑戦

この用語の理解度をチェックしましょう。宅建過去問アプリで関連する過去問を解くことができます。

過去問に挑戦する


※ この記事は2026年度宅建試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。

腕試しクイズ

IT重説(ITを活用した重要事項説明)は、どんな場合でも可能ですか?

もっと問題を解きたい方へ

全4科目の過去問を収録。解説付きで知識を定着させましょう。

公開日: 2026/4/27 / 更新日: 2026/4/30

宅建業法の他の記事

住宅瑕疵担保履行法とは?宅建試験の3つのポイント

住宅瑕疵担保履行法とは、新築住宅の売主が倒産しても購入者を守る法律です。供託または保険加入の義務、10年間の責任期間など、宅建試験で問われる重要ポイントを3つに絞ってわかりやすく解説します。

契約不適合責任の特約制限とは?宅建業法40条のポイントを解説

契約不適合責任の特約制限とは、宅建業者が売主の場合に買主保護のため民法より不利な特約を制限するルールです。宅建業法40条の適用場面やポイントを解説します。

手付の額の制限とは?上限2割と適用条件を解説

手付の額の制限とは、宅建業法で定められた買主保護の規制です。自ら売主の場合、代金の10分の2(2割)を超える手付金は受領できません。適用条件や重要ポイントを解説します。

報酬額の制限とは?宅建業法46条の計算方法と上限額

宅建業法における「報酬額の制限」とは、宅建業者が受け取れる報酬の上限額を定めた規定です。宅建業法46条に基づき、売買・交換・貸借の媒介・代理における具体的な計算方法と上限額を解説します。

37条書面の記載事項とは?必須・任意項目を宅建試験対策で解説

37条書面とは、宅建業法第37条に基づき契約成立後に交付される書面です。記載事項は、必要的記載事項と任意的記載事項に分かれます。宅建試験頻出の必須・任意項目を具体的に解説します。