{
  "content": "# 無権[代理](/terms/dairi)とは?宅建試験の重要ポイントを徹底解説\n\n## 無権代理の定義\n\n無権代理(むけんだいり)とは、代理権がないにもかかわらず、他人の代理人と称して契約などの法律行為をすることです。 代理権がないため、その行為の効果は原則として本人には及ばず(効力を生じず)、契約は無効となります。\n\n民法第113条では、「代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない」と定められています。\n\n## 無権代理のポイント\n\n宅建試験で無権代理を理解するには、「本人」「相手方」「無権代理人」の三者の関係と、それぞれが持つ権利を整理することが重要です。\n\n| 関係者 | 持つ権利 | ポイント |
| :--- | :--- | :--- |\n| **本人** | **追認権(ついにんけん)**<br>**追認拒絶権(ついにんきょぜつけん)** | ・**追認**すれば、契約の時にさかのぼって有効になる<br>・**追認を拒絶**すれば、契約は確定的に無効になる |\n| **相手方** | **催告権(さいこくけん)**<br>**取消権(とりけしけん)** | ・**催告権**: 善意・悪意を問わず、本人に追認するかどうかの返答を求めることができる<br>・**取消権**: 善意(無権代理と知らなかった)の場合に限り、本人が追認する前であれば契約を取り消せる |\n| **無権代理人** | **責任** | ・本人が追認せず、相手方も取り消さない場合、相手方の選択に従い**「契約の履行」または「損害賠償」**の責任を負う(民法117条)<br>・この責任は**無過失責任**であり、無権代理人に過失がなくても責任を負う<br>・ただし、①相手方が悪意または有過失の場合、②無権代理人が[制限行為能力者](/terms/seigen-koui-nouryokusha)であった場合は責任を負わない |\n\n**【覚え方のコツ】**\n相手方の権利について、「**催告は善悪問わず、取消は善意のみ**」と覚えておきましょう。催告は「どうしますか?」と聞くだけなので誰でもできますが、契約を白紙に戻す取消は、事情を知らなかった善意の相手方のみに認められた強力な権利だとイメージすると覚えやすいです。\n\n## 具体例で理解する無権代理\n\n**【ケース】**\n本人Aさんの息子Bが、Aさんに無断で、Aさん所有の土地を相手方Cさんに売却する契約を結んでしまいました。\n\nこの場合、Bは代理権がないので「無権代理人」となり、AさんとCさんの売買契約は原則として無効です。\n\n**【各人の選択肢】**\n*   **本人Aさんの選択**\n    *   **追認する**: Aさんが「この契約を認める」と追認すれば、売買契約は契約時にさかのぼって有効になります。\n    *   **追認を拒絶する**: Aさんが「認めない」と拒絶すれば、売買契約は完全に無効となります。\n*   **相手方Cさんの選択**\n    *   **催告する**: CさんはAさんに対し、「この契約を追認しますか?」と相当の期間を定めて質問(催告)できます。Aさんが期間内に返事をしない場合、追認を拒絶したものとみなされます。\n    *   **取り消す**: Cさんが、Bに代理権がないことを知らずに(善意で)契約した場合、Aさんが追認する前に「この契約をやめます」と取り消すことができます。\n*   **無権代理人Bの責任**\n    *   もしAさんが追認を拒絶し、Cさんも契約を取り消さなかった場合、CさんはBに対して「契約通り土地を引き渡せ(履行請求)」または「損害を賠償しろ(損害賠償請求)」と責任を追及できます。\n\n## 試験対策:ひっかけに注意!\n\n### 無権代理と表見代理の混同\n\n無権代理と似た制度に「**表見代理(ひょうけんだいり)**」があります。 表見代理とは、代理権がないにもかかわらず、外部から見るとあたかも代理権があるかのように見え、そのことについて本人にも落ち度(帰責事由)がある場合に、本人に契約の責任を負わせる制度です。\n\n*   **無権代理**: 原則、本人に効果は帰属しない(無効)。\n*   **表見代理**: 相手方が善意無過失などの要件を満たせば、本人に効果が帰属する(有効)。\n\n本人が白紙の委任状を渡していた場合(代理権授与の表示による表見代理、民法109条)や、与えられた代理権の範囲を超えて行為をした場合(権限外の行為の表見代理、民法110条)などが典型例です。 この2つの違いは明確に区別しておきましょう。\n\n### 無権代理と[相続](/terms/souzoku)\n\n相続が絡むと結論が変わるため、注意が必要です。\n*   **無権代理人が本人を相続した場合**: 無権代理人は、本人の立場で「追認を拒絶する」ことはできません。 自分でやった行為を棚に上げて拒絶するのは信義に反するためです。\n*   **本人が無権代理人を相続した場合**: 本人は、自身の立場で「追認を拒絶する」ことができます。 ただし、無権代理人の負うべき責任(履行または損害賠償の義務)も相続するため、注意が必要です。\n\n## よくある質問\n\n### Q: 無権代理人の責任は、過失がないと追及できないのでしょうか?\nA: いいえ、無権代理人の責任は「無過失責任」です。つまり、無権代理人に「自分には代理権があると信じていた」などの過失がなかったとしても、原則として責任を負わなければなりません。これは、取引の安全を保護するため、無権代理人に重い責任を課しているからです。\n\n### Q: 表見代理が成立する場合、相手方は無権代理人の責任を追及できますか?\nA: 表見代理が成立する場合、相手方は本人に対して契約の履行を求めることができます。 そのため、本人に責任を追及できる以上、重ねて無権代理人に対して民法117条の責任を追及することはできないと解されています。 相手方は、表見代理を主張して本人に履行を求めるか、無権代理人の責任を追及するかを選択することになります。\n\n## この用語に関連する過去問に挑戦\n\nこの用語の理解度をチェックしましょう。宅建過去問アプリで関連する過去問を解くことができます。\n\n[過去問に挑戦する](https://takken-dict.jp/open?subject=3&topic=%E7%84%A1%E6%A8%A9%E4%BB%A3%E7%90%86)\n\n---\n※ この記事は2026年度宅建試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報は[e-Gov法令検索](https://elaws.e-gov.go.jp/)でご確認ください。",
  "contentPlain": "# 無権代理とは?宅建試験の重要ポイントを徹底解説\n\n## 無権代理の定義\n\n無権代理(むけんだいり)とは、代理権がないにもかかわらず、他人の代理人と称して契約などの法律行為をすることです。 代理権がないため、その行為の効果は原則として本人には及ばず(効力を生じず)、契約は無効となります。\n\n民法第113条では、「代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない」と定められています。\n\n## 無権代理のポイント\n\n宅建試験で無権代理を理解するには、「本人」「相手方」「無権代理人」の三者の関係と、それぞれが持つ権利を整理することが重要です。\n\n| 関係者 | 持つ権利 | ポイント |\n| :--- | :--- | :--- |\n| **本人** | **追認権(ついにんけん)**<br>**追認拒絶権(ついにんきょぜつけん)** | ・**追認**すれば、契約の時にさかのぼって有効になる<br>・**追認を拒絶**すれば、契約は確定的に無効になる |\n| **相手方** | **催告権(さいこくけん)**<br>**取消権(とりけしけん)** | ・**催告権**: 善意・悪意を問わず、本人に追認するかどうかの返答を求めることができる<br>・**取消権**: 善意(無権代理と知らなかった)の場合に限り、本人が追認する前であれば契約を取り消せる |\n| **無権代理人** | **責任** | ・本人が追認せず、相手方も取り消さない場合、相手方の選択に従い**「契約の履行」または「損害賠償」**の責任を負う(民法117条)<br>・この責任は**無過失責任**であり、無権代理人に過失がなくても責任を負う<br>・ただし、①相手方が悪意または有過失の場合、②無権代理人が制限行為能力者であった場合は責任を負わない |\n\n**【覚え方のコツ】**\n相手方の権利について、「**催告は善悪問わず、取消は善意のみ**」と覚えておきましょう。催告は「どうしますか?」と聞くだけなので誰でもできますが、契約を白紙に戻す取消は、事情を知らなかった善意の相手方のみに認められた強力な権利だとイメージすると覚えやすいです。\n\n## 具体例で理解する無権代理\n\n**【ケース】**\n本人Aさんの息子Bが、Aさんに無断で、Aさん所有の土地を相手方Cさんに売却する契約を結んでしまいました。\n\nこの場合、Bは代理権がないので「無権代理人」となり、AさんとCさんの売買契約は原則として無効です。\n\n**【各人の選択肢】**\n*   **本人Aさんの選択**\n    *   **追認する**: Aさんが「この契約を認める」と追認すれば、売買契約は契約時にさかのぼって有効になります。\n    *   **追認を拒絶する**: Aさんが「認めない」と拒絶すれば、売買契約は完全に無効となります。\n*   **相手方Cさんの選択**\n    *   **催告する**: CさんはAさんに対し、「この契約を追認しますか?」と相当の期間を定めて質問(催告)できます。Aさんが期間内に返事をしない場合、追認を拒絶したものとみなされます。\n    *   **取り消す**: Cさんが、Bに代理権がないことを知らずに(善意で)契約した場合、Aさんが追認する前に「この契約をやめます」と取り消すことができます。\n*   **無権代理人Bの責任**\n    *   もしAさんが追認を拒絶し、Cさんも契約を取り消さなかった場合、CさんはBに対して「契約通り土地を引き渡せ(履行請求)」または「損害を賠償しろ(損害賠償請求)」と責任を追及できます。\n\n## 試験対策:ひっかけに注意!\n\n### 無権代理と表見代理の混同\n\n無権代理と似た制度に「**表見代理(ひょうけんだいり)**」があります。 表見代理とは、代理権がないにもかかわらず、外部から見るとあたかも代理権があるかのように見え、そのことについて本人にも落ち度(帰責事由)がある場合に、本人に契約の責任を負わせる制度です。\n\n*   **無権代理**: 原則、本人に効果は帰属しない(無効)。\n*   **表見代理**: 相手方が善意無過失などの要件を満たせば、本人に効果が帰属する(有効)。\n\n本人が白紙の委任状を渡していた場合(代理権授与の表示による表見代理、民法109条)や、与えられた代理権の範囲を超えて行為をした場合(権限外の行為の表見代理、民法110条)などが典型例です。 この2つの違いは明確に区別しておきましょう。\n\n### 無権代理と相続\n\n相続が絡むと結論が変わるため、注意が必要です。\n*   **無権代理人が本人を相続した場合**: 無権代理人は、本人の立場で「追認を拒絶する」ことはできません。 自分でやった行為を棚に上げて拒絶するのは信義に反するためです。\n*   **本人が無権代理人を相続した場合**: 本人は、自身の立場で「追認を拒絶する」ことができます。 ただし、無権代理人の負うべき責任(履行または損害賠償の義務)も相続するため、注意が必要です。\n\n## よくある質問\n\n### Q: 無権代理人の責任は、過失がないと追及できないのでしょうか?\nA: いいえ、無権代理人の責任は「無過失責任」です。つまり、無権代理人に「自分には代理権があると信じていた」などの過失がなかったとしても、原則として責任を負わなければなりません。これは、取引の安全を保護するため、無権代理人に重い責任を課しているからです。\n\n### Q: 表見代理が成立する場合、相手方は無権代理人の責任を追及できますか?\nA: 表見代理が成立する場合、相手方は本人に対して契約の履行を求めることができます。 そのため、本人に責任を追及できる以上、重ねて無権代理人に対して民法117条の責任を追及することはできないと解されています。 相手方は、表見代理を主張して本人に履行を求めるか、無権代理人の責任を追及するかを選択することになります。\n\n## この用語に関連する過去問に挑戦\n\nこの用語の理解度をチェックしましょう。宅建過去問アプリで関連する過去問を解くことができます。\n\n[過去問に挑戦する](https://takken-dict.jp/open?subject=3&topic=%E7%84%A1%E6%A8%A9%E4%BB%A3%E7%90%86)\n\n---\n※ この記事は2026年度宅建試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報は[e-Gov法令検索](https://elaws.e-gov.go.jp/)でご確認ください。",
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公開日: 2026/5/11 / 更新日: 2026/5/11

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