取引事例比較法とは?宅建試験の重要ポイントを徹底解説

取引事例比較法の定義

取引事例比較法(とりひきじれいひかくほう)とは、評価したい不動産(対象不動産)と条件が似ている、近隣の不動産の取引事例を複数収集し、それらの価格を参考にしながら対象不動産の価格を算出する手法です。 不動産鑑定評価基準では、「まず多数の取引事例を収集して適切な事例の選択を行い、これらに係る取引価格に必要に応じて事情補正及び時点修正を行い、かつ、地域要因の比較及び個別的要因の比較を行って求められた価格を比較考量し、これによって対象不動産の試算価格を求める手法」と定義されています。 この手法で求められた試算価格を「比準価格(ひじゅんかかく)」と呼びます。

この手法は、実際の市場での取引価格を基にするため、市場性を強く反映した客観的な価格を求めやすいという特徴があります。

取引事例比較法のポイント

宅建試験で問われる取引事例比較法の重要ポイントは、価格を算出するまでの一連の流れです。この流れをしっかり押さえましょう。

  1. 適切な取引事例の収集・選択

    • 対象不動産の近隣地域や、同じような需要が見込める範囲(同一需給圏内)にある類似の不動産の取引事例を多数集めます。
    • 投機目的の取引や、親族間売買のような特殊な事情がある事例は、原則として選択しません。
  2. 事情補正と時点修正

    • 事情補正(じじょうほせい): 選択した事例に、売り主が売り急いでいた、あるいは相場よりかなり安く買いたたかれたなどの特殊な事情がある場合、その影響をなくすための補正を行います。
    • 時点修正(じてんしゅうせい): 取引事例の取引時期と、価格を評価する時期(価格時点)が異なる場合、その間の地価変動などを考慮して価格を現在の水準に修正します。
  3. 地域要因と個別的要因の比較

    • 地域要因の比較: 対象不動産のある地域と、取引事例のある地域の優劣を比較します。例えば、駅からの距離、周辺施設の充実度、日照などの住環境を比較し、価格差を補正します。
    • 個別的要因の比較: 対象不動産と取引事例の個別の特徴(土地の形状、道路付け、建物の築年数や間取りなど)を比較し、価格差を補正します。
  4. 比準価格の算出

    • 上記の補正・修正を行った複数の事例価格を総合的に比較検討し、対象不動産の比準価格を決定します。

【覚え方のコツ】事・時・地・個(じ・じ・ち・こ)」の順番で覚えるのがおすすめです。 「情補正 → 点修正 → 域要因比較 → 別的要因比較」の流れを呪文のように唱えて覚えましょう。

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具体例で理解する取引事例比較法

【設定】

  • 評価したい物件(対象不動産): Aマンションの3階、70㎡の部屋
  • 取引事例: 3ヶ月前に同じAマンションの5階、70㎡の部屋が3,500万円で成約した。

【評価プロセス】

  1. 事例の選択: 同じマンション内の事例なので、比較対象として適切と判断します。
  2. 事情補正: 取引を調査したところ、売り主が海外転勤で急いで売却したため、相場より少し安かった(約5%)ことが判明。→ 3,500万円 ÷ 0.95 ≒ 3,684万円に補正します。
  3. 時点修正: この3ヶ月で周辺のマンション価格が2%上昇したとします。→ 3,684万円 × 1.02 ≒ 3,758万円に修正します。
  4. 要因の比較: 対象は3階、事例は5階です。一般的に高層階の方が眺望が良く人気があるため、5階のほうが高く評価されます(仮に3%の価格差とします)。→ 3,758万円 × 0.97 ≒ 3,645万円に補正します。
  5. 比準価格の算出: このように複数の補正を経て、対象不動産の比準価格は「約3,645万円」と算出されます。実際には、複数の取引事例を用いて、より精度の高い価格を求めます。

試験対策:ひっかけに注意!

宅建試験では、他の鑑定評価手法との違いを問うひっかけ問題が頻出します。特に以下の2つの手法との違いを明確に区別しましょう。

  • 原価法(げんかほう)

    • 内容: 対象不動産を「もう一度建て直したらいくらかかるか(再調達原価)」を計算し、そこから築年数に応じた価値の減少分(減価修正)を差し引いて価格を求める手法です。
    • 適した物件: 主に建物、特に一戸建てや新築物件の評価に用いられます。
    • ひっかけポイント: 「取引事例」ではなく「再調達原価」や「減価修正」というキーワードが出てきたら原価法を疑いましょう。
  • 収益還元法(しゅうえきかんげんほう)

    • 内容: 対象不動産が将来生み出すであろう「収益(家賃収入など)」に着目し、その収益を現在の価値に割り戻して価格を求める手法です。
    • 適した物件: 賃貸マンションやオフィスビルなど、投資用・事業用の不動産の評価に用いられます。
    • ひっかけポイント: 「家賃収入」や「将来の収益」、「利回り」といったキーワードは収益還元法の特徴です。取引事例比較法は、市場での売買価格を基準にする点で根本的に異なります。

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よくある質問

Q: 取引事例はどこから集めるのですか?

A: 不動産鑑定士や不動産会社は、国土交通省が公表している「不動産取引価格情報」や、不動産流通機構が運営するコンピュータネットワークシステム「レインズ(REINS)」、民間のデータベースなどから情報を収集します。

Q: どんな取引事例でも比較対象として使えますか?

A: いいえ、使えません。投機的な取引や、親族間での極端に安い価格での売買など、特殊な事情があると認められる事例は、補正が困難なため比較対象から除外されます。 あくまで「正常な価格」で取引された、対象不動産と条件の近い事例を選ぶ必要があります。

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※ この記事は2026年度宅建試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。

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公開日: 2026/6/8 / 更新日: 2026/6/8

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