原価法とは?宅建試験の重要ポイントを徹底解説

原価法の定義

原価法(げんかほう)とは、不動産の価格を評価する手法の一つで、**価格時点において対象不動産をもう一度建て直した場合にいくらかかるか(再調達原価)を算出し、そこから築年数の経過などによる価値の減少分(減価修正)**を差し引いて価格を求める方法です。 この手法で求められた価格を「積算価格(せきさんかかく)」と呼びます。

この方法は、不動産の価格を「費用」の面から捉えるもので、特に建物のような再生産が可能な資産の評価に適しています。 宅建試験では、不動産鑑定評価の3つの主要な手法(原価法、取引事例比較法収益還元法)の一つとして、その基本的な考え方や計算方法が問われます。

根拠となる「不動産鑑定評価基準」では、以下のように定義されています。

原価法は、価格時点における対象不動産の再調達原価を求め、この再調達原価について減価修正を行って対象不動産の試算価格(積算価格)を求める手法である。

原価法のポイント

宅建試験で原価法を攻略するための重要ポイントは、「再調達原価」と「減価修正」の2つの要素を正確に理解することです。計算式はシンプルで、**「積算価格 = 再調達原価 - 減価修正額」**となります。

1. 再調達原価(さいちょうたつげんか)

再調達原価とは、対象となる不動産を**「価格時点(評価する時点)」で、「現在の資材や工法」**を用いて新しく建築・造成した場合にかかる費用の総額を指します。

  • ポイント: 建築当時の費用ではなく、今建てたらいくらかかるか、という点が重要です。
  • 構成要素: 直接工事費だけでなく、設計監理費や登記費用などの付帯費用も含まれます。

2. 減価修正(げんかしゅうせい)

減価修正とは、新築の状態から現在までの間に価値が減少した分を、再調達原価から差し引く手続きのことです。 価値が減少する要因(減価の要因)には、以下の3つがあります。

  • 物理的要因: 建物の老朽化、破損、摩耗など、物理的な状態の変化による価値の減少。
  • 機能的要因: 設計の古さ、設備の旧式化(例:和式トイレ)、間取りの悪さなど、機能的な陳腐化による価値の減少。
  • 経済的要因: 周辺環境の変化(例:近隣に工場ができて住環境が悪化)、市場性の低下など、不動産の外部にある要因による価値の減少。

これらの要因を総合的に考慮して、減価額を判定します。減価修正の方法には、耐用年数に基づいて計算する「耐用年数に基づく方法」と、不動産の状態を直接観察して評価する「観察減価法」があり、実務ではこれらを併用することが原則とされています。

📝

原価法」― 税金の計算問題、解ける?

税その他の過去問を多数収録。解説付きで読んだ知識をその場で定着させましょう。

具体例で理解する原価法

具体的な数字を使って、原価法の計算の流れを見てみましょう。

【設定】

  • 対象建物: 木造戸建住宅
  • 延床面積: 100㎡
  • 1㎡あたりの再調達原価: 20万円
  • 築年数(経過年数): 15年
  • 経済的耐用年数: 25年

【計算ステップ】

  1. 再調達原価の算出 100㎡ × 20万円/㎡ = 2,000万円

  2. 減価修正額の算出(定額法の場合) まず、1年あたりの価値の減少額を計算します。 2,000万円 ÷ 25年(耐用年数) = 80万円/年

    次に、経過年数分の減価額を計算します。 80万円/年 × 15年(経過年数) = 1,200万円

  3. 積算価格の算出 2,000万円(再調達原価) - 1,200万円(減価修正額) = 800万円

このように、原価法では「今建てたらいくら?」から「古くなった分はいくら?」を引くことで、現在の価値を算出します。

試験対策:ひっかけに注意!

宅建試験では、用語の定義や計算の前提条件を問うひっかけ問題が出題されやすいです。以下のポイントに注意しましょう。

  • ひっかけ①:「再調達原価」の基準時点 : 対象不動産が建築された当時の価格を基準とする。 : **価格時点(鑑定評価を行う時点)**で再調達する場合の価格を基準とします。 物価や建築費は変動するため、「今」の価格で計算することが重要です。

  • ひっかけ②:減価修正の要因 : 減価修正は、建物の物理的な老朽化のみを考慮する。 : 物理的要因だけでなく、機能的要因(間取りの古さなど)や経済的要因(周辺環境の変化など)も総合的に考慮して減価額を判断します。

  • ひっかけ③:土地への適用 : 原価法は建物にしか適用できず、土地には一切適用できない: 造成地や埋立地など、造成費用といった原価が把握できる土地には原価法が適用されます。 ただし、自然のままの土地(更地)は再調達が不可能なため、原則として適用されません。

ここまで読んだ知識を定着させよう

税その他の過去問を多数収録。解説付きで理解を深められます。

よくある質問

Q: 経済的耐用年数と、税法上の法定耐用年数は同じですか?

A: いいえ、異なります。税法上の「法定耐用年数」は、税金計算のために法律で一律に定められた年数です。一方、不動産鑑定評価で用いる「経済的耐用年数」は、建物の用途や維持管理の状態、経済的な状況などを考慮して個別に判断される、その不動産が有効に利用できる期間を指します。 そのため、リフォームなどで建物の状態が良ければ、経済的耐用年数が法定耐用年数より長くなることもあります。

Q: 耐用年数を超えた古い建物の価値はゼロになるのですか?

A: 必ずしもゼロになるとは限りません。会計上の減価償却では価値がゼロ(または備忘価額1円)になることがありますが、不動産鑑定評価では、建物として使用できる限りは一定の価値が認められるのが一般的です。 ただし、市場価値がほとんどなくなり、解体費用の方が廃材の価値を上回る場合は、価値がゼロまたはマイナスと評価されることもあります。

この用語に関連する過去問に挑戦

この用語の理解度をチェックしましょう。宅建過去問アプリで関連する過去問を解くことができます。

過去問に挑戦する


※ この記事は2026年度宅建試験の法令に基づいて作成されています。法改正により内容が変更される場合があります。最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。

腕試しクイズ

経済的耐用年数と、税法上の法定耐用年数は同じですか?

もっと問題を解きたい方へ

全4科目の過去問を収録。解説付きで知識を定着させましょう。

公開日: 2026/6/7 / 更新日: 2026/6/8

税・その他の他の記事

統計とは?宅建試験の出題傾向と対策を解説

宅建試験の問48で毎年出題される「統計」とは、土地・建物に関する公的統計データのこと。地価公示や建築着工統計など、令和8年度試験で問われる最新データを把握し、前年比の増減トレンドを掴むことが合格の鍵。具体的な出題傾向と対策を解説します。

標準地とは?土地鑑定委員会が公示する理由

標準地とは、土地鑑定委員会が選定し、公示する土地のことです。宅建試験では、誰が(土地鑑定委員会)、いつ(毎年1月1日)、何を、どのように、何のために公示するのかが重要です。この標準地の正常な価格を毎年1回公示することで、一般の土地取引の目安となる価格指標を示します。宅建試験対策として、その定義とポイントをわかりやすく解説します。

不動産に関する税金とは?取得・保有・譲渡の3場面を解説

不動産に関する税金とは、土地や建物等の取得・保有・譲渡時に課される税金の総称です。宅建試験では、国税・地方税の区別、納税義務者、課税標準、税率、軽減措置の適用要件(床面積、築年数等)が問われます。取得時、保有時、譲渡時の税金の種類とポイントを具体的に解説します。

建物の知識とは?構造・性能表示・税務を宅建試験対策で解説

宅建試験の「建物の知識」とは、建物の構造(木造・RC造など)、住宅性能表示制度、関連税務の基本を指します。重要事項説明との関連も深く、例年1〜2問出題。W造・S造・RC造・SRC造の特徴比較や、住宅性能表示制度のポイント、税金との関連性をわかりやすく解説します。宅建合格に向けた必須知識を習得しましょう。

土地の知識とは?宅建試験の重要ポイント3選

宅建試験における「土地の知識」とは、土地の自然的・社会経済的特性と不動産取引への影響を指します。地形・地盤と災害リスク、土地の価格の2大頻出テーマを、宅地建物取引士が知るべき鑑定評価基準や地価公示法と関連付けながら、具体的なポイントを解説します。安全で公正な取引のための基礎知識を習得しましょう。